新田クリニック 院長 新田長生コラム

医療法人社団 健成会
新田クリニックの院長 新田長生(整形外科医)
大平山不動寺住職 新田光照 のコラム。
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親と子の人間学
『仏説父母恩重経』  前節の続き・・・

 母が、水くみやあるいは炊事、あるいは臼つきなど様々な仕事に従事して、家に帰る時がまだ来ないのに、我が子が家ですすり泣きし喚いて、自分を恋い慕っているのであろうと想像すると、胸騒ぎし、気持ちが動転し、乳房からは乳が流れ出て、耐えられず、そこで仕事を投げ出して家に帰ります。子は遙かに母が来るのを見て、乳母車のなかで頭を揺り動かし、掻きむしり、外にいれば、すぐ腹ばいででてきて、空泣きして母に向かいます。
 母は子のために足を早め、身体を丸め、両手を伸ばし、子の塵や土を払い、わが口を子の口につけながら、乳房を出して乳を飲ませます。このとき母は児をみて喜び、子は母を見て喜びます。二人の気持ちが一つになって、恩愛があまねく行き渡ること、これに過ぎるものはありません。
 二歳になると、子は母の懐を離れ始めて歩き出します。父が教えなければ、火が身体を焼くことを知らず、母が教えなければ、刃物が指を切り落とすことを知りません。
 三歳になると、乳離れをしてものを食べ始めます。父が教えなければ、毒のために命を落とすことを知りません。母が教えなければ、薬が病から救うことを知りません。父母が他家に招かれて、宴席に赴き、美味しい・珍しい食べ物を得ることがあれば、自分たちだけがこれを食べるのには忍びず、懐に収めて持って帰り、子に与えます。十回宴席から帰れば、九回まで土産を持って帰ります。子はいつも歓喜して、笑いながら食べます。子はもしも手違えで、一回でも土産をもらえなかったら、たちまち嘘泣きをし、いつわり嘆いて、父を責め、母に迫ります。
 子が成長して、友達とつきあうようになりますと、父は子のために衣や帯を求め、母は整髪して、親の好みの美しい衣服はみな子に与えて着せ、そうして自分たちは古い着物、破れた着物をまといます。
 年ごろになって妻を求めて、娶れば、父母をとかく疎遠にして、夫婦の間でむつみ合い、私房の中で妻とともに語らい楽しみます。父母が年長けて力が衰えてしまいますと、頼りにするものはただ子供だけであります。頼みにするのは嫁だけであります。そうであるのに、息子夫婦はともに朝から夕暮に至るまで、未だに一回も両親を訪ねて声をかけることもありません。
 あるいは妻に先立たれた父や、夫をなくした母が、独りで空房を守っているのは、あたかも一人旅の客が宿屋に泊まっているようなもので、いつも慈しみの思いやりなく、または談笑の楽しみがありません。夜中になって、寝床は冷ややかで身体が休まらず、ましてや、衣のノミやシラミが多くいて、朝まで眠れないこともあります。独り言することには「ああ、私にはどのようなあの世からの罪があって、この様な不孝の子を持ったのであろうか」と。
 用事があって子を呼べば、目を怒らせて親をののしります。嫁もその子もこれを見て一緒にののしり、ともに辱め、下を向いて笑いをこらえます。嫁もまた不孝、その子もまた不順であります。夫婦がなれ合って五逆罪をつくります。
あるいはまた急に用事を伝えることがあって、呼び寄せて言いつけようとすると、十回叫んでも九回は無視し、やっと来ても用事はせず、かえって怒り罵り言うことには、「老いぼれてこの世に残るより、はやく死んだほうがましである」と。父母はこれを聞いて、恨みつらみで胸がふさがり、止めどなく涙がこぼれ、まなこは暗く、心は惑い、悲しみ叫んで言うことには、「ああ、お前は幼かったとき、私でなければ養ってもらえなかった。私でなければ育ててもらえなかった。そして今になってみるとこのありさま、ああ、私がお前を生んだのは、もとより生まなかったのに及ばない。」
 もし子がいて父母に、この様な言葉を発せさせたなら、子はそのとき、その言葉とともに地獄・餓鬼・畜生の中に落ちます。
 一切の如来さまや金剛天、優れた力をもつ五通仙もこれを救済出来ません。父母の恩の重いことは、天の極まりがないようなものであります。
 
 2回にわたり、親子の人間学と題して、父母恩重経をとおして、現代失われがちな親子愛を考えてみるのも必要とおもい、書いてみました。
 
      
            
大平山不動寺住職   新田 光照
| 住職:新田光照のコラム | 17:50 | comments(18) | trackbacks(0) | ↑TOP
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